日商簿記2級 最短合格講座

区分0 3級の土台(仕訳のしくみ)★★★

No.02 よく出る勘定科目と3級の取引

2級の第1問は、3級で習う科目と取引を知っている前提で出ます。この回は、よく出る勘定科目を5グループで整理して、3級レベルの取引を一通り切れるようにする回です。出る頻度は高く、しっかり読んでください。
目次
  1. 第0章 前提知識
  2. 第1章 科目を5グループで整理する
  3. 第2章 3級の取引を型で切る
  4. 第3章 問題文から科目を見つける
  5. 確認問題

第0章 前提知識

① 借方(かりかた)・貸方(かしかた)の確認 :左と右

借方は左、貸方は右です。 資産と費用は増えたら借方、負債・純資産・収益は増えたら貸方でした(No.01)。減ったら逆の側です。

この回の仕訳は、すべてこの決まりで切れます。 不安な時はNo.01の第1章②に戻ってください。

② 三分法 :商品の売買を3つの科目で記録する方法

商品の売買は、仕入・売上・繰越商品(くりこししょうひん)の3つの科目で記録します。これを三分法と言います。

商品を買ったら「仕入」(費用)、売ったら「売上」(収益)に書きます。 期末に残っている商品の金額は、繰越商品(資産)に直します。この直し方は、No.03(後で出ます)で扱います。ここでは、期末の商品は資産として別に残す、とだけ押さえてください。

③ 掛け :代金を後で受け払いする約束

掛けで売ったら、後でお金を受け取れる権利ができます。これが売掛金(うりかけきん)で、資産です。 掛けで仕入れたら、後でお金を払う義務ができます。これが買掛金(かいかけきん)で、負債です。

「掛け」と書いてあったら、現金や預金ではなく、売掛金か買掛金を使います。

第1章 科目を5グループで整理する

科目は、グループごとにまとめて覚えると、仕訳の左右が自動的に決まります。

① 資産と負債の科目 必ず覚える

グループ 科目 意味
資産 現金・当座預金・普通預金 手元と口座のお金
資産 売掛金 商品を掛けで売った代金の未回収分
資産 貸付金 人に貸したお金
資産 前払金 商品の代金を先に払った分
資産 仮払金 使い道や金額が未確定のまま渡したお金
資産 立替金 他人の分を代わりに払った分
資産 備品・建物・車両運搬具 長く使う物(固定資産)
負債 買掛金 商品を掛けで仕入れた代金の未払い分
負債 借入金 借りたお金
負債 未払金 商品以外の物の代金の未払い分
負債 前受金 商品の代金を先に受け取った分
負債 仮受金 何のお金か分からないまま受け取った分
負債 預り金 後で他へ納めるために預かったお金

当座預金(とうざよきん)は、小切手を切るための預金口座です。ここでは「預金の一種」と見ておけば足ります。

② 純資産・収益・費用の科目 必ず覚える

グループ 科目
純資産 資本金・繰越利益剰余金
収益 売上・受取利息・受取手数料・受取家賃
費用 仕入・給料・旅費交通費・通信費・支払家賃・支払利息・広告宣伝費・租税公課・消耗品費

科目名は、見た瞬間に「どのグループか」が分かるようにしておきます。 受取〜は収益、支払〜は費用、というように名前の形でも判断できます。

③ 似た科目の使い分け 必ず覚える

試験で迷いやすい組み合わせは、次の通りです。

迷う組 見分け方
売掛金 と 未収入金 商品を売った代金は売掛金。それ以外の物(備品など)を売った代金は未収入金
買掛金 と 未払金 商品を仕入れた代金は買掛金。それ以外は未払金
前払金 と 前受金 払った側が前払金(資産)、受け取った側が前受金(負債)
仮払金 と 仮受金 払った側が仮払金(資産)、受け取った側が仮受金(負債)
立替金 と 預り金 他人の分を払ったのが立替金(資産)、預かったのが預り金(負債)

問題文に「商品」と書いてあるかどうかが、見分けの手がかりになります。

第2章 3級の取引を型で切る

数字は、分かりやすくした架空の例です。

① 商品の売買と、返品・入金 必ず覚える

「商品400,000円を掛けで仕入れた」。

借方 金額 貸方 金額
仕入 400,000 買掛金 400,000

「仕入れた商品のうち、30,000円分を品違いで返品した」。買掛金が減るので借方で、仕入を取り消します。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 30,000 仕入 30,000

「売掛金500,000円が普通預金に入金された」。

借方 金額 貸方 金額
普通預金 500,000 売掛金 500,000

商品の代金を、先に手付金として受け取ることもあります。「手付金100,000円を現金で受け取った」。

借方 金額 貸方 金額
現金 100,000 前受金 100,000

② 給料と預り金 必ず覚える

「従業員に給料300,000円を支払った。所得税の源泉徴収額20,000円を差し引き、残りを普通預金から振り込んだ」。 差し引いた20,000円は、会社が預かって、後で国に納めるお金です。預り金(負債)が増えます。

借方 金額 貸方 金額
給料 300,000 預り金 20,000
普通預金 280,000

給料は支払総額で借方に書きます。 借方300,000=貸方20,000+280,000で一致します。

③ 仮払金と現金過不足 さらっと

「出張に行く従業員に、旅費の概算として50,000円を現金で渡した」。

借方 金額 貸方 金額
仮払金 50,000 現金 50,000

出張から戻り、実際の旅費は46,000円、残りの4,000円が現金で返ってきました。

借方 金額 貸方 金額
旅費交通費 46,000 仮払金 50,000
現金 4,000

帳簿の現金より、実際の現金が3,000円少なかった場合は、いったん現金過不足という科目で処理します。

借方 金額 貸方 金額
現金過不足 3,000 現金 3,000

後で原因が通信費の記帳漏れと分かったら、振り替えます。

借方 金額 貸方 金額
通信費 3,000 現金過不足 3,000

第3章 問題文から科目を見つける

① 言葉のヒントを拾う 必ず覚える

科目は、問題文の言葉で決まります。よく出る言い回しは次の通りです。

問題文の言葉 使う科目
掛けで売った 売掛金(借方)と売上(貸方)
掛けで仕入れた 仕入(借方)と買掛金(貸方)
商品以外を後払いにした 未払金(貸方)
手付金を受け取った 前受金(貸方)
概算で渡した 仮払金(借方)
源泉徴収した 預り金(貸方)

② ネット試験では、科目を選ぶ形です さらっと

ネット試験の仕訳問題は、科目名を一覧から選ぶ形式です。 自分で書き出す必要はありませんが、選択肢に似た科目が並ぶので、第1章③の見分けが効きます。

○ よくある勘違い:給料から引いた源泉所得税は、会社の費用ではなく預り金。給料の借方は支払総額
○ 現金過不足は、原因が分かるまでの一時的な科目。決算までに原因が分からなければ、雑損か雑益にします(No.03、後で出ます)
○ 手形・小切手の取引はNo.05(後で出ます)で扱います。ここでは、代金を後で受け取る約束の書類、くらいで足ります
○ 関係する単元:5グループと左右の決まりはNo.01、決算整理はNo.03

商品の掛けは売掛金・買掛金、それ以外の後払いは未払金。払った側は前払金・仮払金(資産)、受け取った側は前受金・仮受金(負債)。給料の源泉徴収分は預り金。

確認問題

問1 「従業員に給料200,000円を支払った。所得税の源泉徴収額15,000円を差し引き、残額を普通預金から振り込んだ」。正しい仕訳はどれですか。

問2 「商品を仕入れ、その代金500,000円は後日支払うことにした」。正しい仕訳はどれですか。

問3 出張に行く従業員に50,000円を現金で渡し、帰ってきたら実際の旅費は46,000円で、残額が現金で戻りました。精算時の仕訳として正しいのはどれですか。

出典:日本商工会議所「簿記 2級 試験科目・出題区分表」(https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2 )。勘定科目の意味と取引の仕訳は、簿記の一般的な基本に基づく。数値は説明用の架空の例。