借方は左、貸方は右です。 資産と費用は増えたら借方、負債・純資産・収益は増えたら貸方でした(No.01)。減ったら逆の側です。
この回の仕訳は、すべてこの決まりで切れます。 不安な時はNo.01の第1章②に戻ってください。
商品の売買は、仕入・売上・繰越商品(くりこししょうひん)の3つの科目で記録します。これを三分法と言います。
商品を買ったら「仕入」(費用)、売ったら「売上」(収益)に書きます。 期末に残っている商品の金額は、繰越商品(資産)に直します。この直し方は、No.03(後で出ます)で扱います。ここでは、期末の商品は資産として別に残す、とだけ押さえてください。
掛けで売ったら、後でお金を受け取れる権利ができます。これが売掛金(うりかけきん)で、資産です。 掛けで仕入れたら、後でお金を払う義務ができます。これが買掛金(かいかけきん)で、負債です。
「掛け」と書いてあったら、現金や預金ではなく、売掛金か買掛金を使います。
科目は、グループごとにまとめて覚えると、仕訳の左右が自動的に決まります。
| グループ | 科目 | 意味 |
|---|---|---|
| 資産 | 現金・当座預金・普通預金 | 手元と口座のお金 |
| 資産 | 売掛金 | 商品を掛けで売った代金の未回収分 |
| 資産 | 貸付金 | 人に貸したお金 |
| 資産 | 前払金 | 商品の代金を先に払った分 |
| 資産 | 仮払金 | 使い道や金額が未確定のまま渡したお金 |
| 資産 | 立替金 | 他人の分を代わりに払った分 |
| 資産 | 備品・建物・車両運搬具 | 長く使う物(固定資産) |
| 負債 | 買掛金 | 商品を掛けで仕入れた代金の未払い分 |
| 負債 | 借入金 | 借りたお金 |
| 負債 | 未払金 | 商品以外の物の代金の未払い分 |
| 負債 | 前受金 | 商品の代金を先に受け取った分 |
| 負債 | 仮受金 | 何のお金か分からないまま受け取った分 |
| 負債 | 預り金 | 後で他へ納めるために預かったお金 |
当座預金(とうざよきん)は、小切手を切るための預金口座です。ここでは「預金の一種」と見ておけば足ります。
| グループ | 科目 |
|---|---|
| 純資産 | 資本金・繰越利益剰余金 |
| 収益 | 売上・受取利息・受取手数料・受取家賃 |
| 費用 | 仕入・給料・旅費交通費・通信費・支払家賃・支払利息・広告宣伝費・租税公課・消耗品費 |
科目名は、見た瞬間に「どのグループか」が分かるようにしておきます。 受取〜は収益、支払〜は費用、というように名前の形でも判断できます。
試験で迷いやすい組み合わせは、次の通りです。
| 迷う組 | 見分け方 |
|---|---|
| 売掛金 と 未収入金 | 商品を売った代金は売掛金。それ以外の物(備品など)を売った代金は未収入金 |
| 買掛金 と 未払金 | 商品を仕入れた代金は買掛金。それ以外は未払金 |
| 前払金 と 前受金 | 払った側が前払金(資産)、受け取った側が前受金(負債) |
| 仮払金 と 仮受金 | 払った側が仮払金(資産)、受け取った側が仮受金(負債) |
| 立替金 と 預り金 | 他人の分を払ったのが立替金(資産)、預かったのが預り金(負債) |
問題文に「商品」と書いてあるかどうかが、見分けの手がかりになります。
数字は、分かりやすくした架空の例です。
「商品400,000円を掛けで仕入れた」。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 400,000 | 買掛金 | 400,000 |
「仕入れた商品のうち、30,000円分を品違いで返品した」。買掛金が減るので借方で、仕入を取り消します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 30,000 | 仕入 | 30,000 |
「売掛金500,000円が普通預金に入金された」。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 500,000 | 売掛金 | 500,000 |
商品の代金を、先に手付金として受け取ることもあります。「手付金100,000円を現金で受け取った」。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 100,000 | 前受金 | 100,000 |
「従業員に給料300,000円を支払った。所得税の源泉徴収額20,000円を差し引き、残りを普通預金から振り込んだ」。 差し引いた20,000円は、会社が預かって、後で国に納めるお金です。預り金(負債)が増えます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 給料 | 300,000 | 預り金 | 20,000 |
| 普通預金 | 280,000 |
給料は支払総額で借方に書きます。 借方300,000=貸方20,000+280,000で一致します。
「出張に行く従業員に、旅費の概算として50,000円を現金で渡した」。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仮払金 | 50,000 | 現金 | 50,000 |
出張から戻り、実際の旅費は46,000円、残りの4,000円が現金で返ってきました。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 旅費交通費 | 46,000 | 仮払金 | 50,000 |
| 現金 | 4,000 |
帳簿の現金より、実際の現金が3,000円少なかった場合は、いったん現金過不足という科目で処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金過不足 | 3,000 | 現金 | 3,000 |
後で原因が通信費の記帳漏れと分かったら、振り替えます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 通信費 | 3,000 | 現金過不足 | 3,000 |
科目は、問題文の言葉で決まります。よく出る言い回しは次の通りです。
| 問題文の言葉 | 使う科目 |
|---|---|
| 掛けで売った | 売掛金(借方)と売上(貸方) |
| 掛けで仕入れた | 仕入(借方)と買掛金(貸方) |
| 商品以外を後払いにした | 未払金(貸方) |
| 手付金を受け取った | 前受金(貸方) |
| 概算で渡した | 仮払金(借方) |
| 源泉徴収した | 預り金(貸方) |
ネット試験の仕訳問題は、科目名を一覧から選ぶ形式です。 自分で書き出す必要はありませんが、選択肢に似た科目が並ぶので、第1章③の見分けが効きます。
○ よくある勘違い:給料から引いた源泉所得税は、会社の費用ではなく預り金。給料の借方は支払総額
○ 現金過不足は、原因が分かるまでの一時的な科目。決算までに原因が分からなければ、雑損か雑益にします(No.03、後で出ます)
○ 手形・小切手の取引はNo.05(後で出ます)で扱います。ここでは、代金を後で受け取る約束の書類、くらいで足ります
○ 関係する単元:5グループと左右の決まりはNo.01、決算整理はNo.03
商品の掛けは売掛金・買掛金、それ以外の後払いは未払金。払った側は前払金・仮払金(資産)、受け取った側は前受金・仮受金(負債)。給料の源泉徴収分は預り金。
問1 「従業員に給料200,000円を支払った。所得税の源泉徴収額15,000円を差し引き、残額を普通預金から振り込んだ」。正しい仕訳はどれですか。
問2 「商品を仕入れ、その代金500,000円は後日支払うことにした」。正しい仕訳はどれですか。
問3 出張に行く従業員に50,000円を現金で渡し、帰ってきたら実際の旅費は46,000円で、残額が現金で戻りました。精算時の仕訳として正しいのはどれですか。
出典:日本商工会議所「簿記 2級 試験科目・出題区分表」(https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2 )。勘定科目の意味と取引の仕訳は、簿記の一般的な基本に基づく。数値は説明用の架空の例。