会社は、1年(事業年度)の終わりに、その期の利益と財産の状態を計算します。これを決算と言います。 期の終わりの日を決算日と呼びます。
普段の仕訳だけでは、利益は正しく出ません。 まだ使っていない分の費用や、まだ確定していない損失があるからです。それを直す手続きが決算整理です。
期中の仕訳をすべて勘定口座に写し、科目ごとの残高を一覧にした表が試算表です(No.01)。 決算整理の前の試算表を決算整理前残高試算表、整理の後の物を決算整理後残高試算表と言います。
決算の最終成果物が、貸借対照表(決算日の資産・負債・純資産の状態を示す表)と、損益計算書(その期の収益と費用、利益を示す表)です。 この2つを合わせて財務諸表(ざいむしょひょう)と言います。
第3問では、この2つの表の一部を、金額を入れて完成させる問題が出ます。
決算は、次の順番で進みます。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 決算整理前の試算表を作る |
| 2 | 決算整理の仕訳を切る |
| 3 | 決算整理後の試算表を作る |
| 4 | 収益と費用を損益勘定に振り替え、利益を出す |
| 5 | 貸借対照表と損益計算書を作る |
2級では、2〜3の決算整理が最も多く問われます。 4〜5は、それを整理して並べ直す作業です。
3級で習う決算整理は、次の通りです。
| 項目 | 何をするか |
|---|---|
| 現金過不足の整理 | 原因不明のままなら、雑損か雑益にする |
| 売上原価の計算 | 期首・期末の商品を、繰越商品に直す |
| 貸倒引当金 | 売掛金の将来の回収不能に備えて、費用に計上する |
| 減価償却 | 備品などの値打ちの目減り分を、費用にする |
| 費用の前払い・未払い | 当期の分だけを費用にする |
| 収益の前受け・未収 | 当期の分だけを収益にする |
| 消耗品などの整理 | 期末に残っている分を資産にする |
貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)、減価償却(げんかしょうきゃく)の詳しい内容は、No.05とNo.06(どちらも後で出ます)で扱います。ここでは3級レベルの形を確認します。
決算整理は、項目の数が多く、順番を決めておかないと抜けます。 次の順で、1行ずつ仕訳してから表に写してください。
試験では、問題文の指示の順に並んでいることが多いです。 それでも、自分で書き出す順番を決めておくと、抜けが減ります。
数字は、分かりやすくした架空の例です。
売上原価とは、売れた分の商品の仕入れ値です。 次の式で出します。
売上原価=期首の商品+当期の仕入-期末の商品
期首商品80,000円、当期の仕入600,000円、期末商品100,000円なら、80,000+600,000-100,000=580,000円です。
これを仕訳にすると、次の2つです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 80,000 | 繰越商品 | 80,000 |
| 繰越商品 | 100,000 | 仕入 | 100,000 |
1行目は、期首の商品を仕入に加える仕訳です。 2行目は、売れずに残った期末の商品を、仕入から外して資産にする仕訳です。
貸倒引当金は、売掛金のうち回収できなくなりそうな分を、あらかじめ見積もる処理です。 売掛金の期末残高が1,000,000円で、回収不能の見込みが2%なら、設定額は20,000円です。 すでに貸倒引当金の残高が6,000円あれば、足りない14,000円だけを足します(差額補充法)。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 貸倒引当金繰入 | 14,000 | 貸倒引当金 | 14,000 |
減価償却は、備品や建物などの値打ちの目減り分を、毎年の費用にする処理です。 取得原価600,000円の備品を、耐用年数5年、残存価額ゼロの定額法で償却すると、1年分は600,000÷5=120,000円です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 120,000 | 減価償却累計額 | 120,000 |
備品そのものの金額を直接減らさず、減価償却累計額という別の科目に貯めていく書き方です(間接法)。
当期に払った費用でも、翌期の分は当期の費用ではありません。 たとえば、10月1日に1年分の保険料144,000円を払ったとします。決算日は3月31日です。
1か月分は12,000円。決算日までに使ったのは10月から3月の6か月分です。残りの6か月分、72,000円は翌期の分なので、費用から外して資産(前払保険料)にします。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 前払保険料 | 72,000 | 保険料 | 72,000 |
逆に、当期の家賃30,000円をまだ払っていない場合は、当期の費用に加えて、未払いの負債を立てます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払家賃 | 30,000 | 未払家賃 | 30,000 |
収益の側も同じ考え方です。まだ受け取っていない当期分は未収、先に受け取った翌期分は前受です。
整理が終わったら、収益と費用を、いったん損益という勘定に集めます。 収益の合計が900,000円、費用が仕入(売上原価)420,000円・給料150,000円・減価償却費70,000円で合計640,000円だとします。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売上 | 900,000 | 損益 | 900,000 |
| 損益 | 640,000 | 仕入 | 420,000 |
| 給料 | 150,000 | ||
| 減価償却費 | 70,000 |
損益勘定の貸方900,000円と借方640,000円の差、260,000円が当期純利益です。 これを純資産の繰越利益剰余金に移します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 損益 | 260,000 | 繰越利益剰余金 | 260,000 |
決算整理後の残高を、次のように分けて並べます。
貸借対照表では、当期純利益が繰越利益剰余金に加わります。 左(資産)の合計と右(負債+純資産)の合計は一致します。
精算表は、試算表・整理の仕訳・損益計算書・貸借対照表を、横に並べた1枚の表です。 手書きの試験では書くことがありますが、この講座では、書き方のコツには立ち入りません。
大事なのは、整理の仕訳を1行ずつ切ることです。 表に写す作業は、そのあとで機械的にできます。
○ よくある勘違い:前払い(費用の先払い)は資産、未払い(費用の払い忘れ)は負債。左右を逆にしない
○ 売上原価は、期首の商品を足して、期末の商品を引く。足すのと引くを逆にしない
○ 現金過不足は、決算までに原因が分からなければ、不足なら雑損(費用)、過剰なら雑益(収益)にします
○ 翌期の頭に、前払い・未払いなどを元に戻す再振替仕訳を切ります。第3問の問題文に指示があるときに出ます
○ 関係する単元:貸倒引当金はNo.05、減価償却はNo.06、決算整理と財務諸表の本格版はNo.11(いずれも後で出ます)
決算整理は、毎回同じ順番で1行ずつ仕訳する。売上原価=期首+仕入-期末、貸倒引当金は設定額と残高の差だけ、前払いは翌期の分を資産に。
問1 期首の商品が50,000円、当期の仕入が700,000円、期末の商品が80,000円でした。決算整理で、売上原価を仕入の勘定で計算する仕訳として正しいのはどれですか。
問2 売掛金の期末残高が800,000円です。3%の貸倒れを見積もります。貸倒引当金の残高は10,000円あります。決算整理の仕訳として正しいのはどれですか。
問3 7月1日に1年分の保険料240,000円を支払い、費用に処理していました。決算日は3月31日です。決算整理の仕訳として正しいのはどれですか。
出典:日本商工会議所「簿記 2級 試験科目・出題区分表」(https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2 )。決算整理と決算振替の仕訳は、簿記の一般的な基本に基づく。数値は説明用の架空の例。