外国の会社と、ドルなどの円以外のお金で売買する取引です。 帳簿は円で付けるので、ドルの金額を円に直して記録します。この作業を換算(かんさん)と呼びます。
換算に使うのが為替レートです。たとえば「1ドル=100円」と決めて、10ドルは1,000円とします。
レートは毎日動きます。同じ取引でも、使う日によって円に直した金額が違ってきます。 簿記では、次の3つの場面で使うレートを分けます。
| 場面 | 使うレート |
|---|---|
| 取引した日 | その日のレート |
| 決算日 | 決算日のレート |
| 払う・受け取る日(決済日) | その日のレート |
レートが動くと、ドルで受け取る予定の金額が、円で見て増えたり減ったりします。 この差が為替差損益です。益の時は貸方、損の時は借方に書きます。
円安(えんやす)は1ドルが100円から110円のように、ドルの値段が上がること。円高(えんだか)は、その逆です。 ドルで受け取る予定の売掛金は、円安になると円に直した金額が増えるので、益が出ます。ドルで払う予定の買掛金は、円安になると増えるので、損が出ます。
借方、貸方の言葉は、借方(かりかた)が帳簿の左側、貸方(かしかた)が右側です。
商品を1,000ドルで売り、代金は後で受け取る約束をしました。取引した日のレートは1ドル=100円です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 100,000 | 売上 | 100,000 |
決算日になりました。決算日のレートは1ドル=104円です。売掛金はまだ入金されていないので、決算日のレートで換算し直します。 1,000ドル×104円=104,000円。帳簿の100,000円との差の4,000円が為替差益です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 4,000 | 為替差損益 | 4,000 |
翌期に、売掛金が入金されました。入金日のレートは1ドル=103円です。 1,000ドル×103円=103,000円が入金額ですが、帳簿は104,000円です。差額の1,000円は為替差損になります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 103,000 | 売掛金 | 104,000 |
| 為替差損益 | 1,000 |
最初の100,000円から、入金の103,000円まで、トータルで3,000円の為替差益でした。 決算で4,000円の益、決済で1,000円の損と、2回に分けて出ているだけです。
買掛金は、払う側なので、損と益の向きが逆になります。
商品を500ドルで仕入れ、代金は後で払う約束です。取引日のレートは1ドル=100円です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 50,000 | 買掛金 | 50,000 |
決算日のレートは1ドル=104円です。500ドル×104円=52,000円に換算し直し、増えた2,000円は為替差損です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 為替差損益 | 2,000 | 買掛金 | 2,000 |
翌期の支払日のレートは1ドル=103円です。500ドル×103円=51,500円を払います。帳簿の52,000円との差の500円は、為替差益です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 52,000 | 普通預金 | 51,500 |
| 為替差損益 | 500 |
決算日のレートで換算し直すのは、現金・預金・売掛金・買掛金・貸付金・借入金などです。お金や、お金を受け取る・払う権利です。 これを貨幣項目(かへいこうもく)と呼びます。
一方、商品・固定資産・前払金(まえばらいきん)など、お金そのものではない物は、取引した日のレートのままです。決算で換算し直しません。
売掛金や買掛金は直し、商品や固定資産は直さない。ここを混ぜないのが大事です。 外貨預金を持っている場合も貨幣項目なので、決算日のレートで直します。
○ よくある勘違い:決算で売掛金を直し忘れる、または商品の仕入を決算日のレートで直してしまう
○ 損か益かは、売掛金なら円安で益、買掛金なら円安で損、と向きで覚える方法があります。迷ったら金額を円で計算して、帳簿の金額と比べると確実です
○ 為替差損益は1つの科目です。借方に出れば損、貸方に出れば益です(選択肢に「為替差益」「為替差損」と分かれている場合は、それに従います)
レートが動くと損をするかもしれないので、取引と同時に、決済日のレートをあらかじめ銀行と約束しておくことがあります。これが為替予約で、約束したレートを予約レートと呼びます。
為替予約をした取引では、取引時から予約レートで円に直して記録します。これが振当処理(ふりあてしょり)の基本です。 レートが決まっているので、決算で換算し直すことも、決済で為替差損益が出ることもありません。
例です。1,000ドルの商品を掛けで売ると同時に、3か月後の決済日に1ドル=103円で交換する予約をしました。取引日のレートは1ドル=100円です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 103,000 | 売上 | 103,000 |
決済日に、予約した金額で入金されます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 103,000 | 売掛金 | 103,000 |
取引日のレート(100円)ではなく予約レート(103円)を使う所がポイントです。
○ 取引のあとで予約した場合は、予約レートと取引日のレートの差を、月数などで分ける処理が出ることがあります。問題文に指示があるので、その指示に従います(深追いしない)
○ 為替予約をしても、仕訳の形は売掛金・買掛金のまま。「予約」という科目は使いません
取引した日・決算日・払う日で、それぞれその日のレートで円に直す。決算で直すのはお金や売掛金・買掛金などで、商品や固定資産は直さない。差額は為替差損益。為替予約があれば、取引時から予約レートで円に直し、あとの換算や損益はない。
問1 2,000ドルの商品を掛けで売り上げ、売上を1ドル=102円で計上しました(売上204,000円)。決算日のレートは1ドル=105円です。決算の正しい仕訳はどれですか。
問2 3,000ドルの買掛金があります。取引日のレートは1ドル=100円で、決算日にレートは1ドル=104円に直して312,000円で計上していました。支払日のレートは1ドル=102円です。支払の正しい仕訳はどれですか。
問3 1,500ドルの商品を掛けで仕入れると同時に、決済日に1ドル=104円で支払う為替予約をしました(取引日のレートは1ドル=100円)。振当処理での取引時の仕訳はどれですか。
出典:日本商工会議所 簿記検定試験 2級 試験科目(出題区分表)https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2。外貨建取引の換算・為替予約の振当処理は、外貨建取引等会計処理基準の考え方に基づく。レートと金額は説明用の架空の例。