会社が儲けた(課税所得がある)時にかかるのが、法人税・住民税・事業税の3つです。 2級では、これを1つにまとめて「法人税、住民税及び事業税」という費用の科目で記録します。簿記では法人税等(ほうじんぜいとう)と呼びます。
仕訳の左側を借方(かりかた)、右側を貸方(かしかた)と呼びます。 法人税等は費用なので、決算で借方に書きます。
消費税は、買った人が払い、売った会社がまとめて国に納める税金です。 会社にとっては自分の費用や収益ではなく、お客さんから預かった税金を国に渡す、という立場になります。 そのため、2級で使う税抜方式(ぜいぬきほうしき)では、売上や仕入の本体の金額と消費税を分けて記録します。
会社の帳簿の利益(会計上の利益)と、税金を計算する時の利益(課税所得)は、細かい所で食い違うことがあります。 食い違ったままだと、利益に対して税金が多すぎる、少なすぎるという不自然な形の決算書になってしまいます。 そこで、あとから払う・戻ってくる税金を前もって計上して、税引前当期純利益に見合う税金の額にそろえる処理が、税効果会計です。
税金のずれを入れる箱として、繰延税金資産(くりのべぜいきんしさん)と繰延税金負債(くりのべぜいきんふさい)を使います。
法人税等は、期の途中で半分近くを前払いして(中間納付)、決算で年間の税額を確定し、残りを翌期に払います。 前払いした分は、まだ費用にせず、仮払法人税等(かりばらいほうじんぜいとう)という資産の科目に置いておきます。
次の例で見ます。
中間納付で1,200,000円を払いました。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仮払法人税等 | 1,200,000 | 普通預金 | 1,200,000 |
決算で、年間の法人税等が3,000,000円と確定しました。たとえば課税所得が10,000,000円で、税率が30%なら、10,000,000円×30%=3,000,000円です。 全額を費用にして、前払いした分を引き、残りを未払法人税等(みばらいほうじんぜいとう、まだ払っていない税金)にします。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 法人税、住民税及び事業税 | 3,000,000 | 仮払法人税等 | 1,200,000 |
| 未払法人税等 | 1,800,000 |
翌期に確定申告をして、残りの1,800,000円を納めた時です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払法人税等 | 1,800,000 | 普通預金 | 1,800,000 |
決算の仕訳では、貸方が2つに分かれます。 借方は3,000,000円、貸方は1,200,000円と1,800,000円で、左右が合っています。未払の金額は「年間の税額−中間納付額」で出せます。
預金の利息を受け取る時は、あらかじめ税金(源泉所得税)が差し引かれて入金されます。 この引かれた税金は、あとで法人税等から差し引けるので、仮払法人税等で処理します。
利息10,000円のうち、20%の2,000円が引かれて8,000円が入金された例です。数字は説明用の仮のものです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 8,000 | 受取利息 | 10,000 |
| 仮払法人税等 | 2,000 |
○ よくある勘違い:中間納付の時に、法人税、住民税及び事業税を借方に書いてしまう。決算で確定するまでは仮払法人税等です
○ 決算の仕訳は、未払の金額が「年間税額−仮払法人税等」と引き算で出る形が基本です
○ 税率や課税所得は、問題文に与えられます。自分で調べる必要はありません
税抜方式では、仕入や売上の金額を消費税抜きで記録し、消費税は別の科目で記録します。
税率10%の例です。
商品100,000円を仕入れ、消費税10,000円とあわせて110,000円を掛けにしました。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 100,000 | 買掛金 | 110,000 |
| 仮払消費税 | 10,000 |
商品を200,000円で売り、消費税20,000円とあわせて220,000円を掛けにしました。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 220,000 | 売上 | 200,000 |
| 仮受消費税 | 20,000 |
国に納める消費税は、預かった分から払った分を引いた金額です。 決算で、仮受消費税と仮払消費税を相殺して、残りを未払消費税(みばらいしょうひぜい)にします。
先ほどの2つの取引だけだったとすると、仮受20,000円−仮払10,000円=10,000円です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仮受消費税 | 20,000 | 仮払消費税 | 10,000 |
| 未払消費税 | 10,000 |
納付した時は、未払消費税を消します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払消費税 | 10,000 | 普通預金 | 10,000 |
○ 消費税は費用ではありません。損益計算書には出ず、貸借対照表の中だけで動きます
○ 仮払の方が多い時は、納めるのではなく還付を受けます。その場合は借方に未収還付消費税(みしゅうかんぷしょうひぜい)が出ます(深追いしない)
○ 固定資産を買った時の消費税も、同じ仮払消費税に入れます
ずれが出る理由はいろいろありますが、2級で出る形は3つです。 どれも、将来の税金が減る(繰延税金資産)か、増える(繰延税金負債)かを見分けて、実効税率(じっこうぜいりつ、問題文に与えられる、たとえば30%)をかけて金額を出します。
| ずれの形 | 将来の税金 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|---|
| 費用を先に出しすぎた(税務で認められない) | 減る | 繰延税金資産 | 法人税等調整額 |
| 評価益が出たが、税金はまだ払っていない | 増える | 資産(評価益ぶん) | 繰延税金負債と評価差額金 |
| 評価損が出たが、税金はまだ減っていない | 減る | 評価差額金と繰延税金資産 | 資産(評価損ぶん) |
表の2行目と3行目は、第3章③で詳しく見ます。
貸倒引当金(貸倒れに備えて積んでおく費用)や減価償却費を、税務で認められる限度よりも多く計上した時、超えた部分は損金(そんきん、税金の計算で費用として認められるもの)になりません。 その年は税金を払いすぎる形になりますが、将来、貸倒れが実際に起きたり、売却したりすると損金として認められ、払いすぎた税金が戻ってきます。
そこで、その将来戻る税金の額を、繰延税金資産として先に計上します。貸方の法人税等調整額は、その年の法人税等を減らす働きをします。
例です。貸倒引当金のうち、税務で認められない部分が40,000円ありました。実効税率は30%です。
40,000円×30%=12,000円
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 繰延税金資産 | 12,000 | 法人税等調整額 | 12,000 |
減価償却費の限度超過額が100,000円あった時も、同じ形です。100,000円×30%=30,000円で、同じく借方に繰延税金資産、貸方に法人税等調整額を書きます。
翌期以降にこの差が解消されたら、左右を逆にして繰延税金資産を取り崩します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 法人税等調整額 | 12,000 | 繰延税金資産 | 12,000 |
No.08で見たその他有価証券の評価差額は、損益計算書を通らず、純資産に入ります。 ここに税効果会計をかける時は、法人税等調整額は使いません。評価差額金から、税金の分を取り分けます。
評価益(含み益)が10,000円出た場合です。将来売ると税金が増えるので、繰延税金負債を立てます。実効税率は30%です。
10,000円×30%=3,000円
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| その他有価証券 | 10,000 | 繰延税金負債 | 3,000 |
| その他有価証券評価差額金 | 7,000 |
評価損が30,000円出た場合は逆に、将来の税金が減るので繰延税金資産を立てます。30,000円×30%=9,000円です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| その他有価証券評価差額金 | 21,000 | その他有価証券 | 30,000 |
| 繰延税金資産 | 9,000 |
○ 見分け方:損益計算書を通る話(貸倒引当金・減価償却費)は法人税等調整額、純資産に入る話(その他有価証券)は評価差額金の中で調整
○ 繰延税金資産が将来本当に回収できるか(回収可能性)の判断は、この単元では扱いません(深追いしない)
○ 貸借対照表での繰延税金資産と繰延税金負債の相殺や表示区分は、財務諸表の単元(No.11、後で出ます)で出てきたときに見ます(さらっと)
法人税等は、中間納付は仮払法人税等、決算で全額を費用にして残りを未払法人税等。消費税は仮受−仮払の差額を未払消費税。税効果会計は3つの形:貸倒引当金・減価償却の超過は繰延税金資産/法人税等調整額、その他有価証券の評価益・損は評価差額金の中で繰延税金負債・資産を立てる。
問1 決算で、当期の法人税、住民税及び事業税が800,000円と確定しました。期中に中間納付として300,000円を仮払法人税等で処理しています。正しい仕訳はどれですか。
問2 当期の消費税(税抜方式)の仮受消費税が360,000円、仮払消費税が210,000円でした。決算の正しい仕訳はどれですか。
問3 貸倒引当金の繰入額のうち、税務上の限度を超えた200,000円があります。実効税率は30%です。正しい仕訳はどれですか。
問4 その他有価証券(取得原価80,000円)の決算日の時価が100,000円でした。全部純資産直入法で、税効果会計を適用します(実効税率30%)。正しい仕訳はどれですか。
出典:日本商工会議所 簿記検定試験 2級 試験科目(出題区分表)https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2。税効果会計・法人税等・消費税の処理は、企業会計基準および一般的な簿記の取り扱いに基づく。税率や数字は説明用の例。