日商簿記2級 最短合格講座

区分2 第2問・第3問 決算書と連結(40点)★★

No.12 本支店会計

本店と支店が別々に帳簿をつける会社で、本店と支店の間のやり取りをどう書き、最後にどう1つの決算書にまとめるか、という単元です。第3問で出ることがあります。型がはっきりしているので、さらっと押さえる回です。
目次
  1. 第0章 前提知識
  2. 第1章 本店と支店のやり取りを仕訳にする
  3. 第2章 決算と合併財務諸表
  4. 確認問題

第0章 前提知識

① 本店と支店 :1つの会社の中の2つの帳簿

本店と支店は、別の会社ではなく、同じ会社の中の別の拠点です。 ただし、それぞれが自分の帳簿をつけて、自分の損益を計算します。これを支店会計の独立といいます。

本店と支店の間でやり取りがあると、どちらの帳簿にも仕訳が必要になります。 同じ会社の中のお金や商品の移動なので、全体で見れば、売上や費用は発生していません。ここが、ふつうの取引と違う点です。

② 支店勘定と本店勘定 :お互いの貸し借りを表す勘定

本店の帳簿には「支店」勘定、支店の帳簿には「本店」勘定を置きます。 本店から見ると、支店に渡した分は「支店に貸している」ことになります。支店から見ると、同じ分は「本店から預かっている」ことになります。

本店の帳簿 支店の帳簿
使う勘定 支店(借方に増える) 本店(貸方に増える)

同じ取引について、2つの帳簿の仕訳は、必ず借方と貸方が鏡のように逆になります。 本店の支店勘定の残高と、支店の本店勘定の残高は、金額が同じになります。この一致が、この単元の検算の軸です。

③ 似た言葉の違い

何のことか
本店集中計算制度 支店どうしの取引も、すべて本店を通した形で書く方法
支店分散計算制度 支店どうしが、直接、相手の支店の勘定を使って書く方法

どちらを使うかは、問題文に書いてあります。第1章③で比べます。

第1章 本店と支店のやり取りを仕訳にする

① 本店と支店の間のやり取り 必ず覚える

本店が支店に、現金300,000円を送りました。

借方 金額 貸方 金額
本店の帳簿 支店 300,000 現金 300,000
支店の帳簿 現金 300,000 本店 300,000

本店は「支店への貸し」が増え、支店は「本店からの預かり」が増えます。 商品を原価のまま送る時も同じ形で、本店は(借)支店 (貸)仕入、支店は(借)仕入 (貸)本店になります。

支店の費用を、本店が代わりに払った時も同じです。本店が広告費50,000円を現金で払ったなら、本店は(借)支店 50,000 (貸)現金 50,000、支店は(借)広告宣伝費 50,000 (貸)本店 50,000です。

○ 迷ったら、まず自分の帳簿で「現金が減るのか増えるのか」を決め、残りの1行が支店か本店かを考えます
○ 本店側は必ず「支店」、支店側は必ず「本店」を使います。反対の勘定を使うと誤りです

② 支店どうしの取引(本店集中計算制度) :本店を通した形にする さらっと

東支店が西支店に、現金100,000円を送りました。本店を通すと考える方式の仕訳です。

借方 金額 貸方 金額
東支店の帳簿 本店 100,000 現金 100,000
西支店の帳簿 現金 100,000 本店 100,000
本店の帳簿 西支店 100,000 東支店 100,000

東西の支店は、相手が別の支店であっても、自分の帳簿では「本店」とだけ書きます。 本店は、両方の支店のことを知っているので、東支店と西支店の2つの勘定で書きます。本店が全部の貸し借りを管理するので、集中、と呼びます。

③ 支店どうしの取引(支店分散計算制度) :相手の支店名で書く さらっと

同じ取引を、支店どうしが直接書く方式です。

借方 金額 貸方 金額
東支店の帳簿 西支店 100,000 現金 100,000
西支店の帳簿 現金 100,000 東支店 100,000
本店の帳簿 仕訳なし

東支店は西支店への貸しを、西支店は東支店からの借りを、それぞれの帳簿に書きます。本店は関与しないので、仕訳はありません。 試験では、集中か分散かが問題文に書かれます。書いてあるほうを使えば足ります。

第2章 決算と合併財務諸表

① 未達事項の整理 :本店と支店のずれを直す 必ず覚える

本店の支店勘定と、支店の本店勘定は、決算では必ず一致するはずです。 一致しない原因は、片方の帳簿だけ、まだ仕訳をしていない取引(未達事項)があることです。

例を1つ見ます。本店の支店勘定は借方に940,000円、支店の本店勘定は貸方に920,000円で、ずれがあります。

借方 金額 貸方 金額
支店の帳簿に足す 現金 80,000 本店 80,000
本店の帳簿に足す 支店 60,000 売掛金 60,000

直したあとの金額は、本店の支店勘定が940,000+60,000=1,000,000円、支店の本店勘定が920,000+80,000=1,000,000円で一致します。 修正は、「まだ書いていない側の帳簿」に足します。両方に書かないよう、注意してください。

② 支店の損益を本店に集める :当期純利益の振替え 必ず覚える

支店の損益勘定には、支店だけの利益が計算されています。それを本店に渡します。

支店の当期純利益が100,000円の時は次のとおりです。

借方 金額 貸方 金額
支店の帳簿 損益 100,000 本店 100,000
本店の帳簿 支店 100,000 損益 100,000

支店の利益が本店に渡り、本店の損益勘定の上で、本店の利益と合算されます。 支店が赤字(損失)なら、借方と貸方が逆になります。

③ 合併財務諸表 :内部のやり取りを消して足し算する さらっと

会社全体の決算書は、本店と支店の財務諸表を足し合わせて作ります。これを合併財務諸表といいます。

本店 支店 合併
現金 500,000 200,000 700,000
支店(本店の帳簿) 1,000,000 消える
本店(支店の帳簿) 1,000,000 消える

現金のような項目は、単純に足します。 一方、支店勘定と本店勘定は、同じ会社の中の貸し借りで、会社全体では存在しません。金額が一致していれば、両方を消します。これが合併の基本です。

○ 本店から支店に商品を原価に利益を上乗せして送る場合(内部利益)は、未実現利益を消す手順が加わります。2級では深追いせず、No.14 の考え方(後で出ます)と同じだと見ておいてください
○ 仕訳を書く形も、財務諸表を作る形も、出題としてあり得ます。どちらでも、土台は今日の仕訳です

本店は「支店」、支店は「本店」の勘定で貸し借りを書き、同じ取引の仕訳は左右が逆になる。決算でずれていたら未達事項を、書いていない側に足して一致させる。合併の時は、本店勘定と支店勘定を消して足し算する。

確認問題

問1 本店が、支店の商品仕入代金200,000円を、現金で立て替えて支払いました。支店の帳簿の仕訳として、正しいのはどれですか。

問2 東支店が西支店に商品120,000円(原価)を送りました(本店集中計算制度)。本店の帳簿の仕訳として、正しいのはどれですか。

問3 決算で、本店の支店勘定は借方に780,000円、支店の本店勘定は貸方に730,000円でした。ずれの原因は、支店が本店に送金した現金50,000円が本店に未達であることだけです。本店で行う修正仕訳として、正しいのはどれですか。

問4 支店が当期純損失30,000円を計上しました。損益勘定を本店に振り替える仕訳として、正しいのはどれですか(支店の帳簿の仕訳)。

出典:日本商工会議所 簿記検定試験 2級(試験科目・出題区分表、https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2 )。数字は説明用の架空の例。