ビール・お菓子・文房具のように、同じ製品を続けて大量に作る会社で使います。 注文ごとの指図書はなく、1か月などの期間にかかった費用をまとめて、その期間の完成品の数で割ります。
No.17の個別原価計算は「注文ごとに集める」、こちらは「期間でまとめて割る」と覚えると区別できます。
月の終わりには、完成した物と、まだ作っている途中の物(月末仕掛品)があります。 この月にかかった費用(と月初仕掛品の原価)を、完成品の原価と月末仕掛品の原価の2つに分けるのが、この計算の目的です。
月末仕掛品が100個あっても、半分しかできていなければ、完成品50個分の加工しかしていません。 この「完成品に直すと何個分か」が完成品換算量で、月末仕掛品の数量に加工進捗度(どこまで進んだか)を掛けて出します。
材料費と加工費(労務費と経費の合計)は、入れ方が違うので分けて考えます。
問題を読んだら、まず箱を描きます。箱は、左右2つに分けた表です。左には「月初仕掛品」と「当月投入」を、右には「完成品」と「月末仕掛品」を書き、それぞれに数量と原価を入れていきます。
左右の数量は必ず一致します。原価も、左の合計と右の合計が一致します。
この単元の例(架空)は次のとおりです。
数量は200+1,000=1,200個と、900+300=1,200個で一致します。 原価の合計は、40,000+11,500+260,000+75,200=386,700円です。この386,700円を、完成品と月末に分けます。
この例を箱に書くと、次のようになります。右の原価は、これから②③で計算して埋めます。
| 左の箱(入ってくる) | 数量 | 原価 | 右の箱(出ていく) | 数量 | 原価 |
|---|---|---|---|---|---|
| 月初仕掛品 | 200個 | 51,500 | 完成品 | 900個 | (計算して入れる) |
| 当月投入 | 1,000個 | 335,200 | 月末仕掛品 | 300個 | (計算して入れる) |
| 合計 | 1,200個 | 386,700 | 合計 | 1,200個 | 386,700 |
左の原価は、材料費と加工費を足した金額です(月初51,500=40,000+11,500、当月335,200=260,000+75,200)。
月初仕掛品の原価と当月の原価を合算して、1個あたり(完成品換算1個あたり)の単価を出します。
材料費の単価は、(40,000+260,000)÷(900+300)=250円です。 加工費の換算量は、完成品900個+月末仕掛品300個×40%=1,020個で、単価は(11,500+75,200)÷1,020=85円です。
| 完成品 | 月末仕掛品 | |
|---|---|---|
| 材料費 | 900個×250円=225,000 | 300個×250円=75,000 |
| 加工費 | 900個×85円=76,500 | 120個×85円=10,200 |
| 合計 | 301,500 | 85,200 |
合計は386,700円で、先ほどの原価の合計に一致します。検算はこの一致を見るだけです。
月初仕掛品が先に完成して、その後に当月分を始めた、と考える方法です。 月初仕掛品の原価は、まとめて完成品に入れます。単価は当月に投入した分だけで計算します。
材料費の単価は260,000÷1,000個=260円です。この1,000個は、完成品900個から月初仕掛品200個を引き、月末仕掛品300個を足したもの(900-200+300=1,000個)で、当月投入の数量と一致します。月初の材料は前月に入れ済みだからです。 加工費の換算量は、完成品の900個から、月初仕掛品の分(200個×40%=80個)を引き、月末仕掛品の分(120個)を足します。900-80+120=940個で、単価は75,200÷940個=80円です。
| 完成品 | 月末仕掛品 | |
|---|---|---|
| 月初仕掛品の原価 | 51,500 | |
| 材料費(当月分) | (900-200)個×260円=182,000 | 300個×260円=78,000 |
| 加工費(当月分) | (900個-80個)=820個×80円=65,600 | 120個×80円=9,600 |
| 合計 | 299,100 | 87,600 |
299,100+87,600=386,700円で、こちらも一致します。
平均法と先入先出法では、答えが変わります。どちらで計算するかは問題文に書いてあるので、見落とさないことが一番大切です。
○ 平均法の換算量は「完成品+月末仕掛品の換算量」。先入先出法は「そこから月初仕掛品の分を引く」と覚えます
○ 完成品の仕訳は、No.16と同じ「製品/仕掛品」です
○ 材料が工程の途中で入る場合は、進み具合を見て材料の換算量も計算します 深追いしない
作る途中で、不良品が出たり(仕損)、材料が蒸発したりして減る(減損)ことがあります。 これには2種類あります。
○ 問題文に「正常」と書いてあれば原価に含める、「異常」なら損失で処理します。これが一番の分かれ目です
度外視(どがいし)とは、ないものとして考えることです。 正常な減損は、減った数量を計算から外して(度外視して)計算します。 外した結果、残った良品の単価が上がり、減損にかかった費用を良品が負担する形になります。
例:当月投入1,000個、正常減損100個、完成品700個、月末仕掛品200個(加工進捗60%)。月初仕掛品はなし。材料は始点投入で材料費450,000円、加工費328,000円。減損は加工進捗30%の時点で出たとします。
| 完成品 | 月末仕掛品 | |
|---|---|---|
| 材料費 | 700個×500円=350,000 | 200個×500円=100,000 |
| 加工費 | 700個×400円=280,000 | 120個×400円=48,000 |
| 合計 | 630,000 | 148,000 |
630,000+148,000=778,000円。材料費と加工費の合計に一致します。
減損は、作る途中のある時点(上の例では加工が30%進んだ所)で出ます。 月末仕掛品がその時点まで進んでいるかどうかで、扱いが変わります。
上の例では、月末仕掛品は60%まで進んでいて、減損が出る30%の所を越えています。月末仕掛品の中にも減損が出た分が含まれているので、完成品と月末仕掛品の両方が減損の費用を負担します。
もし減損が工程の終わり近くで出るなら、月末仕掛品はまだそこまで進んでいません。その場合、月末仕掛品は減損と関係がないので負担せず、完成品だけが負担します。この時は、減損の数量を完成品の数量に足して計算します。
製造が複数の工程に分かれている時に、工程ごとに計算します。 第1工程の完成品の原価は、第2工程に「前工程費」として引き継がれ、第2工程では始点投入の材料のように扱います。
製品の種類(組)が複数ある時に、組ごとに集計します。 組ごとに直接かかった費用は、その組に付け、共通の費用は基準を決めて各組に割り振ります。
同じ種類の製品で、大きさや品質が違う(1級品・2級品など)時に使います。 等級ごとの完成品の原価は、等価係数(1級品を1とした時の、他の等級の重み)を使って分けます。
例:完成品の総合原価440,000円。1級品200個(係数1)、2級品300個(係数0.8)とします。 積数は、1級品が200個×1=200、2級品が300個×0.8=240で、合計440です。1個あたりの原価は440,000÷440=1,000円。1級品200,000円、2級品240,000円になります。
まずボックス図を描く。数量と原価を左右に並べて、換算量を出し、材料費と加工費の単価を出す。平均法は月初と当月を混ぜ、先入先出法は月初仕掛品を先に完成させる。正常な減損は数量を計算から外す。
問1 月初仕掛品100個(加工進捗50%、材料費20,000円・加工費8,000円)、当月投入900個(材料費180,000円・加工費82,000円)、完成品800個、月末仕掛品200個(加工進捗50%)です。材料は始点投入です。平均法による月末仕掛品の原価はいくらですか。
問2 月初仕掛品100個(加工進捗50%、原価は合計28,000円)、当月投入900個(材料費180,000円・加工費85,000円)、完成品800個、月末仕掛品200個(加工進捗50%)。材料は始点投入です。先入先出法による完成品の原価はいくらですか。
問3 当月投入500個、正常減損50個(加工進捗30%の時点で発生)、完成品350個、月末仕掛品100個(加工進捗60%)。月初仕掛品はなく、材料は始点投入で材料費270,000円、加工費164,000円です。度外視法による月末仕掛品の原価はいくらですか。
問4 完成品の総合原価が540,000円です。1級品300個(等価係数1)、2級品400個(等価係数0.5)とします。2級品に配分される原価はいくらですか。
出典:日本商工会議所 簿記検定試験 2級の試験科目(工業簿記:総合原価計算)https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2 。数値は説明用の架空の例。