固定資産は、会社が長く使う資産で、建物・備品・車・土地などです。 1年以内に使い切る商品や、すぐ現金になる預金とは、別のグループに分かれます。
借方(かりかた、左)に取得(買った)金額を書き、貸方(かしかた、右)に払ったお金を書くのが基本です。 仕訳の左右が不安な時は、No.01に戻ってください。
固定資産の金額は、買った値段だけでなく、運搬費・据付費・登記費用など、使い始めるまでに払った金額も足します。この合計を「取得原価」と言います。
備品を90万円で買い、運搬費と据付費が合わせて10万円かかり、全額を当座預金から払った場合を見ます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
|---|---|---|---|---|
| 備品の購入 | 備品 | 1,000,000 | 当座預金 | 1,000,000 |
運搬費などを別の費用にせず、備品に足してしまう点が、よく問われます。
固定資産の修理にかかったお金は、性質によって処理が分かれます。 元の状態に戻すだけの修理は、費用の「修繕費」にします(収益的支出、しゅうえきてきししゅつ)。 価値を高めたり、使える年数を延ばしたりする工事は、固定資産の金額に足します(資本的支出、しほんてきししゅつ)。
ひっかけでは、「耐用年数が延びた」「性能が上がった」と書いてあれば資本的支出、「壊れたので直した」とあれば修繕費です。 金額の計算は出ないので、この区別だけ押さえてください。
固定資産は、使っていくうちに価値が減っていきます。 その減った分を、毎年少しずつ費用にしていく手続きが「減価償却(げんかしょうきゃく)」です。決算のたびに、減価償却費を計上します。
取得原価から残存価額(使い終わった後に残る価値)を引き、耐用年数(使える年数)で割ります。
減価償却費=(取得原価-残存価額)÷耐用年数
取得原価100万円、耐用年数5年、残存価額ゼロなら、毎年 1,000,000÷5=200,000円です。 期の途中で買ったときは、使った月数を月割で計算します。10月1日に買って3月31日が決算なら、6か月分で 200,000×6/12=100,000円です。
毎年、その時点の帳簿価額(取得原価から、すでに償却した合計を引いた金額)に、決まった率を掛けます。 この率を償却率と言い、問題文に書いてあります。
取得原価100万円、償却率40%(耐用年数5年の定率法で、定額法の2倍)の例を見ます。
| 年 | 期首の帳簿価額 | 計算 | 償却費 |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 1,000,000 | 1,000,000×40% | 400,000 |
| 2年目 | 600,000 | 600,000×40% | 240,000 |
2年目に掛けるのは、取得原価ではなく「1年目を引いた後の帳簿価額」です。ここが一番まちがえやすい所です。
なお、後半になると定額法に切り替えるルール(保証率)もありますが、本番では指示されない限り出ないので、深追いしません。
車や機械のように、使った量で価値が減るものは、生産高比例法(せいさんだかひれいほう)を使います。
減価償却費=(取得原価-残存価額)×当期の利用量÷総利用可能量
取得原価300万円、残存価額30万円、走行可能距離30万km、当期の走行距離2万kmなら、(3,000,000-300,000)×20,000÷300,000=180,000円です。
記帳の方法は2つあります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
|---|---|---|---|---|
| 直接法(備品の金額を直接減らす) | 減価償却費 | 200,000 | 備品 | 200,000 |
| 間接法(累計額の勘定に積み上げる) | 減価償却費 | 200,000 | 減価償却累計額 | 200,000 |
間接法は、備品の取得原価をそのまま残し、減らした分は「減価償却累計額」にまとめます。 試験では、間接法の指定が多いです。
固定資産を売ったときの手順は、3つの順番です。 最初に、売るまでの当期分の減価償却費を計上します(月割で計算)。次に、帳簿価額を出します。最後に、売却額との差が、売却益か売却損になります。
4月1日に買った備品(取得原価100万円、耐用年数5年、残存価額ゼロ、定額法・間接法)があり、3年分の償却が終わっているとします(減価償却累計額60万円)。4年目の10月1日に35万円で売って、現金を受け取りました。
当期の4月から9月までは6か月分なので、200,000×6/12=100,000円を先に償却します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
|---|---|---|---|---|
| 売却前の償却 | 減価償却費 | 100,000 | 減価償却累計額 | 100,000 |
| 売却 | 現金 | 350,000 | 備品 | 1,000,000 |
| 減価償却累計額 | 700,000 | 固定資産売却益 | 50,000 |
帳簿価額は 1,000,000-700,000=300,000円で、売却額35万円のほうが高いので、差額5万円は売却益です。 売却額が帳簿価額より安ければ売却損で、借方に書きます。
売らずに処分することを除却(じょきゃく)と言います。 処分して売れる見込みがあれば、その金額を「貯蔵品」として借方に書きます。帳簿価額との差が、固定資産除却損です。
前の備品を、除却して20,000円の処分価額が見込める場合を見ます(累計額は700,000円、償却は済み)。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
|---|---|---|---|---|
| 除却 | 貯蔵品 | 20,000 | 備品 | 1,000,000 |
| 減価償却累計額 | 700,000 | |||
| 固定資産除却損 | 280,000 |
帳簿価額300,000円から、処分価額20,000円を引いた280,000円が除却損です。
古い備品を下取りに出し、新しい備品を買った場合は、売却と購入を1つの仕訳にまとめます。
旧備品(取得原価80万円、減価償却累計額50万円で償却は済み)を25万円で下取りに出し、新備品90万円を購入。差額は後で払う約束(未払金)だとします。
下取価額は、旧備品の売却額とみなして、売却損益を出します。帳簿価額30万円に対して下取価額25万円なので、5万円の売却損です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
|---|---|---|---|---|
| 買換え | 減価償却累計額 | 500,000 | 備品(旧) | 800,000 |
| 備品(新) | 900,000 | 未払金 | 650,000 | |
| 固定資産売却損 | 50,000 |
未払金は、新備品900,000円から下取価額250,000円を引いた650,000円です。
○ 勘違いしやすい:売却の仕訳の前に、当期分の減価償却を忘れずに。問題文に「当期の減価償却費は計上済み」とあれば、不要
○ 売却益が出たら貸方、売却損が出たら借方。迷ったら、借方と貸方の合計を合わせてから残りを埋める
○ 減価償却の計算は、No.11(決算整理、後で出ます)でも使う
国や自治体から補助金をもらって固定資産を買うと、補助金が利益として計上されます。 その利益にすぐ税金がかかるのを避けるため、固定資産の金額を補助金の分だけ減らす処理が圧縮記帳(あっしゅくきちょう)です。
補助金40万円を受け取り、備品100万円を現金で買って、直接減額方式で圧縮記帳する場合です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
|---|---|---|---|---|
| 補助金の受取 | 現金 | 400,000 | 国庫補助金受贈益 | 400,000 |
| 備品の購入 | 備品 | 1,000,000 | 現金 | 1,000,000 |
| 圧縮記帳 | 固定資産圧縮損 | 400,000 | 備品 | 400,000 |
受贈益(利益)と圧縮損(費用)が同じ金額で打ち消し合うので、この年の利益は増えません。
圧縮記帳をした備品の帳簿価額は、1,000,000-400,000=600,000円になります。 次の年からの減価償却は、この圧縮後の金額で計算します。
定額法・耐用年数5年・残存価額ゼロなら、毎年 600,000÷5=120,000円です。取得原価の100万円で計算しないよう、気を付けてください。
リースは、他人の物を借りて使う契約で、2級の範囲には2種類の扱いがあります。 この単元は、2026年度(2027年3月まで)の区分で書いています。
ファイナンス・リースは、途中でやめられず、借りた物から得られる利益と費用をほぼ全部負担する契約です。事実上の分割払いで買ったのと同じ扱いにします。 それ以外のリースは、オペレーティング・リースと呼び、単なる賃貸(レンタル)として扱います。
| 処理 | 払うたびに使う勘定 | |
|---|---|---|
| ファイナンス・リース | 買ったのと同じ(資産と負債を計上) | リース債務、支払利息 |
| オペレーティング・リース | 賃貸借(借りているだけ) | 支払リース料(費用) |
オペレーティング・リースの払いは単純で、「支払リース料/当座預金」と書くだけです。
年間100,000円のリース料を5年払う契約で、リース料総額は500,000円です。 この物を現金で買ったら450,000円(見積現金購入価額)かかる場合、差の50,000円がリース会社への利息相当額になります。
計算の方法は2つあり、問題文で指定されます。
| 利子込み法 | 利子抜き法 | |
|---|---|---|
| リース開始時の資産・債務 | 500,000円 | 450,000円 |
| 毎年の支払いの仕訳 | リース債務100,000/当座預金100,000 | リース債務90,000+支払利息10,000/当座預金100,000 |
| 毎年の減価償却費 | 100,000円 | 90,000円 |
利子抜き法の仕訳を、開始時と1年目の支払い、決算の償却で見ます。利息は、50,000円を5年で均等に割った10,000円です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
|---|---|---|---|---|
| リース開始 | リース資産 | 450,000 | リース債務 | 450,000 |
| 1年目の支払い | リース債務 | 90,000 | 当座預金 | 100,000 |
| 支払利息 | 10,000 | |||
| 決算の償却(間接法) | 減価償却費 | 90,000 | 減価償却累計額 | 90,000 |
リース資産の償却は、リース期間を耐用年数とし、残存価額ゼロの定額法で行います。利子抜き法では 450,000÷5=90,000円です。
問題文に「所有権移転外ファイナンス・リース」「利子抜き法」とあれば、②の形です。 「オペレーティング・リース」「賃貸借処理」とあれば、①の支払リース料だけです。
リース契約を結ぶ時点では、何も払っていなくても資産と負債を計上します。ここは「お金が動いていないのに仕訳を書く」点で戸惑いやすい所です。
会社で使うために買ったソフトウェアは、形のない固定資産として「ソフトウェア」に載せます。 決算では、利用できる期間(原則5年以内)の定額法で償却します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
|---|---|---|---|---|
| ソフトウェア60万円を購入(現金) | ソフトウェア | 600,000 | 現金 | 600,000 |
| 決算で5年の定額法で償却 | ソフトウェア償却 | 120,000 | ソフトウェア | 120,000 |
ソフトウェアは、形がない資産なので、直接法で減らすのが普通です。
自社用のソフトウェアを外注して作っている途中の代金は、完成するまで「ソフトウェア仮勘定」に置きます。 完成して使い始めたら、仮勘定を「ソフトウェア」に移します。
新しい技術の研究や、新製品の開発にかかった費用は、成果が出ても出なくても、払った期の費用にします(研究開発費)。 ソフトウェア制作のうち、研究開発にあたる部分は仮勘定に入れません。
固定資産の取得原価は、代金に運搬費・据付費を足した金額。定額法は取得原価÷耐用年数、定率法は期首の帳簿価額×償却率。売却は先に当期分の償却を出して、帳簿価額と売却額の差で損益を出す。ファイナンス・リースは資産と債務を計上、オペレーティングは支払リース料だけ。
問1 4月1日に買った備品(取得原価100万円、耐用年数5年、残存価額ゼロ、定額法・間接法)がある。3年分の償却が終わり、減価償却累計額は60万円である。4年目の10月1日に35万円で売って現金を受け取った。当期分の償却と売却を合わせたときの、売却の仕訳として正しいものはどれか(当期分の償却は先に計上済み)。
問2 取得原価100万円の備品を定率法(償却率40%)で償却する。2年目の減価償却費はいくらか。
問3 国庫補助金40万円を受け取り、備品100万円を現金で購入した。直接減額方式で圧縮記帳をするときの仕訳として正しいものはどれか。
問4 年100,000円のリース料を5年払う契約で、見積現金購入価額は450,000円である。利子抜き法で処理している。リース開始後1年目に、リース料を当座預金から支払った。仕訳として正しいものはどれか。
出典:日本商工会議所「簿記 2級の試験科目・出題区分表」(固定資産・リース取引・ソフトウェアの範囲)https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2 。数字は説明用の架空の例。