貸借対照表の純資産の部には、株主が出したお金と、これまで稼いで残した利益が載っています。主な項目は次のとおりです。
| グループ | 項目の例 |
|---|---|
| 資本金 | 株主が出したお金のうち、資本金にした分 |
| 資本剰余金 | 資本準備金(出したお金で資本金にしなかった分)など |
| 利益剰余金 | 利益準備金、繰越利益剰余金(稼いで残した利益)など |
| 評価・換算差額等 | その他有価証券評価差額金など(株式の時価の変動で出る差額) |
資本金・資本剰余金・利益剰余金の3つをあわせて、株主資本といいます。 評価・換算差額等は、株主資本とは別の扱いです。
株主資本等変動計算書は、期首の純資産がいくらで、1年間に何が起きて、期末にいくらになったかを表にしたものです。 期首の金額から、増減を順に足し引きして、期末の金額に着く表です。
この表の「当期末残高」の行は、そのまま貸借対照表の純資産の部の金額になります。 つまり、表の最後の行が、貸借対照表の純資産の部と一致していれば、表は合っています。
この章では、次の例で進めます。数字は説明用の架空の例です。
| 項目 | 資本金 | 資本準備金 | 利益準備金 | 繰越利益剰余金 | その他有価証券評価差額金 | 純資産合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 当期首残高 | 1,000,000 | 100,000 | 50,000 | 300,000 | 20,000 | 1,470,000 |
| 新株の発行 | 100,000 | 100,000 | 200,000 | |||
| 剰余金の配当 | 10,000 | △110,000 | △100,000 | |||
| 当期純利益 | 180,000 | 180,000 | ||||
| 株主資本以外の項目の変動額(純額) | 15,000 | 15,000 | ||||
| 当期末残高 | 1,100,000 | 200,000 | 60,000 | 370,000 | 35,000 | 1,765,000 |
△は、引く(減る)印です。
横には「純資産の項目」、縦には「1年間の動き」が並びます。 縦に読むと、1つの項目が期首からどう変わったかが分かります。たとえば繰越利益剰余金は、期首の300,000円から、配当で110,000円減り、当期純利益で180,000円増えて、期末には370,000円になっています。
横に読むと、1つの出来事が、どの項目を動かしたかが分かります。新株の発行は、資本金と資本準備金の2つを動かしています。
○ 縦と横の向きが逆の表もあります。問題の枠が決まっているので、その枠に従って埋めます
期首と期末のあいだの行(新株の発行・剰余金の配当・当期純利益など)を、まとめて当期変動額といいます。 当期変動額の行は、その年に実際に起きた取引の数だけ並びます。どの取引がどの項目を動かすかは、第2章で表にします。
表の数字は、縦にも横にも検算できます。
縦も横も合っていれば、ほぼ間違いありません。 合わないときは、どの欄の符号(増減)を取り違えたかを疑ってください。
次の対応を覚えておけば、ほとんどの取引を表に書けます。
| 取引 | 動く欄 | 向き |
|---|---|---|
| 新株の発行(増資) | 資本金・資本準備金 | 増える |
| 剰余金の配当 | 繰越利益剰余金 | 減る |
| 配当に伴う準備金の積立 | 利益準備金(増える)・繰越利益剰余金(減る) | 同じ金額が移る |
| 当期純利益 | 繰越利益剰余金 | 増える(損失なら減る) |
| その他有価証券の評価替え | その他有価証券評価差額金 | 時価が上がれば増える |
増資のときは、払い込まれた金額の2分の1以上を資本金にし、残りを資本準備金にします(No.07 に戻ってください)。この例では、払込200,000円を、資本金100,000円と資本準備金100,000円に分けました。
会社法では、剰余金から配当するときに、配当額の10分の1を準備金として積み立てるルールがあります。 積立ては、資本準備金と利益準備金の合計が、資本金の4分の1に達するまで続けます。
この例では、繰越利益剰余金から配当100,000円を出したので、10分の1の10,000円を利益準備金に積みました。積み立てた分だけ、繰越利益剰余金から減ります。
| 欄 | 金額 | |
|---|---|---|
| 配当の支払い | 繰越利益剰余金 | △100,000 |
| 準備金の積立て | 繰越利益剰余金 | △10,000 |
| 利益準備金 | +10,000 | |
| 繰越利益剰余金の合計 | △110,000 |
純資産合計の欄は、お金が会社の外に出た配当の100,000円だけが減ります。積立ては、純資産の中の移動にすぎないからです。
○ 準備金が資本金の4分の1にすでに達しているときは、積立てはありません。問題文に指示があります
○ 自己株式など、このほかの項目は、深追いしなくて大丈夫です
表は欄が多いので、取れる所から埋めます。当期首残高と当期純利益は、ほぼ必ず書かれているので、すぐ埋まります。 次に、剰余金の配当と新株の発行を、第2章①の対応表で埋めます。最後に縦計と横計で、当期末残高を確かめます。
連結の問題では、この表の形が連結精算表の中に出てきます。No.13 のように、利益剰余金の期首残高・剰余金の配当・当期純利益・期末残高を、順に追う形です。表の読み方は同じです。
表は、横が項目、縦が動き。取引ごとに動く欄が決まっている(増資は資本金と資本準備金、配当は繰越利益剰余金、当期純利益は繰越利益剰余金)。縦計と横計で検算する。
問1 当期首の資本金は2,000,000円です。当期に新株を発行し、払込金額600,000円のうち、会社法で認められる最小限度の額を資本金に組み入れました。当期末の資本金はいくらですか。
問2 繰越利益剰余金から配当200,000円を支払い、配当の10分の1の準備金を利益準備金として積み立てました。この取引による、繰越利益剰余金の当期変動額はいくらですか。
問3 繰越利益剰余金の当期首残高は500,000円です。当期に、配当と準備金の積立てで合計110,000円が減り、当期純利益が150,000円ありました。当期末残高はいくらですか。
問4 保有しているその他有価証券の時価が上がり、評価差額金が15,000円増えました。株主資本等変動計算書では、どの欄が動きますか。
出典:日本商工会議所 簿記検定試験 2級(試験科目・出題区分表、https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2 )。数字は説明用の架空の例。