日商簿記2級 最短合格講座

区分2 第2問・第3問 決算書と連結(40点)★★

No.15 株主資本等変動計算書

株主資本等変動計算書は、1年間で純資産がどう増えたり減ったりしたかを、1枚の表に並べた物です。表の読み方と、取引を表のどの欄に書くかを覚える単元で、第2問(20点)で連結とあわせて出ます。表の形がいつも同じなので、さらっと押さえる回です。
目次
  1. 第0章 前提知識
  2. 第1章 表の読み方
  3. 第2章 取引を表の欄に書く
  4. 確認問題

第0章 前提知識

① 純資産の部の項目 :株主のお金の内訳

貸借対照表の純資産の部には、株主が出したお金と、これまで稼いで残した利益が載っています。主な項目は次のとおりです。

グループ 項目の例
資本金 株主が出したお金のうち、資本金にした分
資本剰余金 資本準備金(出したお金で資本金にしなかった分)など
利益剰余金 利益準備金、繰越利益剰余金(稼いで残した利益)など
評価・換算差額等 その他有価証券評価差額金など(株式の時価の変動で出る差額)

資本金・資本剰余金・利益剰余金の3つをあわせて、株主資本といいます。 評価・換算差額等は、株主資本とは別の扱いです。

② 株主資本等変動計算書 :純資産の1年間の動きを1枚にした表

株主資本等変動計算書は、期首の純資産がいくらで、1年間に何が起きて、期末にいくらになったかを表にしたものです。 期首の金額から、増減を順に足し引きして、期末の金額に着く表です。

③ 貸借対照表との関係

この表の「当期末残高」の行は、そのまま貸借対照表の純資産の部の金額になります。 つまり、表の最後の行が、貸借対照表の純資産の部と一致していれば、表は合っています。

第1章 表の読み方

この章では、次の例で進めます。数字は説明用の架空の例です。

項目 資本金 資本準備金 利益準備金 繰越利益剰余金 その他有価証券評価差額金 純資産合計
当期首残高 1,000,000 100,000 50,000 300,000 20,000 1,470,000
新株の発行 100,000 100,000 200,000
剰余金の配当 10,000 △110,000 △100,000
当期純利益 180,000 180,000
株主資本以外の項目の変動額(純額) 15,000 15,000
当期末残高 1,100,000 200,000 60,000 370,000 35,000 1,765,000

△は、引く(減る)印です。

① 縦と横の読み方 必ず覚える

横には「純資産の項目」、縦には「1年間の動き」が並びます。 縦に読むと、1つの項目が期首からどう変わったかが分かります。たとえば繰越利益剰余金は、期首の300,000円から、配当で110,000円減り、当期純利益で180,000円増えて、期末には370,000円になっています。

横に読むと、1つの出来事が、どの項目を動かしたかが分かります。新株の発行は、資本金と資本準備金の2つを動かしています。

○ 縦と横の向きが逆の表もあります。問題の枠が決まっているので、その枠に従って埋めます

② 「当期変動額」の行 必ず覚える

期首と期末のあいだの行(新株の発行・剰余金の配当・当期純利益など)を、まとめて当期変動額といいます。 当期変動額の行は、その年に実際に起きた取引の数だけ並びます。どの取引がどの項目を動かすかは、第2章で表にします。

③ 縦計と横計 :検算の軸 必ず覚える

表の数字は、縦にも横にも検算できます。

縦も横も合っていれば、ほぼ間違いありません。 合わないときは、どの欄の符号(増減)を取り違えたかを疑ってください。

第2章 取引を表の欄に書く

① 取引と欄の対応 必ず覚える

次の対応を覚えておけば、ほとんどの取引を表に書けます。

取引 動く欄 向き
新株の発行(増資) 資本金・資本準備金 増える
剰余金の配当 繰越利益剰余金 減る
配当に伴う準備金の積立 利益準備金(増える)・繰越利益剰余金(減る) 同じ金額が移る
当期純利益 繰越利益剰余金 増える(損失なら減る)
その他有価証券の評価替え その他有価証券評価差額金 時価が上がれば増える

増資のときは、払い込まれた金額の2分の1以上を資本金にし、残りを資本準備金にします(No.07 に戻ってください)。この例では、払込200,000円を、資本金100,000円と資本準備金100,000円に分けました。

② 配当と準備金の積立 さらっと

会社法では、剰余金から配当するときに、配当額の10分の1を準備金として積み立てるルールがあります。 積立ては、資本準備金と利益準備金の合計が、資本金の4分の1に達するまで続けます。

この例では、繰越利益剰余金から配当100,000円を出したので、10分の1の10,000円を利益準備金に積みました。積み立てた分だけ、繰越利益剰余金から減ります。

欄 金額
配当の支払い 繰越利益剰余金 △100,000
準備金の積立て 繰越利益剰余金 △10,000
利益準備金 +10,000
繰越利益剰余金の合計 △110,000

純資産合計の欄は、お金が会社の外に出た配当の100,000円だけが減ります。積立ては、純資産の中の移動にすぎないからです。

○ 準備金が資本金の4分の1にすでに達しているときは、積立てはありません。問題文に指示があります
○ 自己株式など、このほかの項目は、深追いしなくて大丈夫です

③ 部分点の取り方と、連結とのつながり さらっと

表は欄が多いので、取れる所から埋めます。当期首残高と当期純利益は、ほぼ必ず書かれているので、すぐ埋まります。 次に、剰余金の配当と新株の発行を、第2章①の対応表で埋めます。最後に縦計と横計で、当期末残高を確かめます。

連結の問題では、この表の形が連結精算表の中に出てきます。No.13 のように、利益剰余金の期首残高・剰余金の配当・当期純利益・期末残高を、順に追う形です。表の読み方は同じです。

表は、横が項目、縦が動き。取引ごとに動く欄が決まっている(増資は資本金と資本準備金、配当は繰越利益剰余金、当期純利益は繰越利益剰余金)。縦計と横計で検算する。

確認問題

問1 当期首の資本金は2,000,000円です。当期に新株を発行し、払込金額600,000円のうち、会社法で認められる最小限度の額を資本金に組み入れました。当期末の資本金はいくらですか。

問2 繰越利益剰余金から配当200,000円を支払い、配当の10分の1の準備金を利益準備金として積み立てました。この取引による、繰越利益剰余金の当期変動額はいくらですか。

問3 繰越利益剰余金の当期首残高は500,000円です。当期に、配当と準備金の積立てで合計110,000円が減り、当期純利益が150,000円ありました。当期末残高はいくらですか。

問4 保有しているその他有価証券の時価が上がり、評価差額金が15,000円増えました。株主資本等変動計算書では、どの欄が動きますか。

出典:日本商工会議所 簿記検定試験 2級(試験科目・出題区分表、https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2 )。数字は説明用の架空の例。